表紙 前文 乾巻原文 坤巻原文 乾巻現代語訳 坤巻現代語訳



             評定所

 

混効験集 坤                       

 

 

きんきや  瀧の名なり 銀河と云事か

此瀧具志頭間切に有名所なり高き

巌よりおちくるを濱邊にてあふき

見れは天の川のやうなるとなり

さやはたけみたけ  知念間切に有御嶽也

神哥ありきゑとの御さうしに見えたり

此御嶽霊地にてむかし知念行幸の時は

御拝賀有之 聞得大君かなしあら

おれの砌も御参詣有之  

そこにやたけみたけ  佐敷間切に有御嶽也

神哥同御さうしに見えたり 此御嶽も

聞得大君かなしあらおれの時御参

詣有之  

だしま  此嶋と云事 神哥同御双紙に有之

みねまこひれ

津嘉山御殿西の小坂を云 神哥同御双紙に有之

みねま川

  同御殿屋敷西北の隅に有河なり

月のわかきよら

てたのわかきよら

日月をほめて云なり 神哥同御双紙有之

※わかきよらは漢字で書くと若清ら。

きゝやのうきしま  喜界嶋の事なり 

きゝやのもいしま  返しの詞

喜界嶋はむかしは琉球のうちなる

ゆへ おもろにも有之と見えたり

首里もりくすく

またまもりくすく

首里王城を云なり 神哥首里の

御さうし有之

きやのうちみやに

御城内に きやうのうちと云御嶽有

てるかは 御日の事

てるしの 右に同

きやかまくら  京鎌倉や京を下略するか

なはん  南蠻なり

おほつかくら  天上の事を云

いつれも首里王府神哥御双紙に見よ

へた  海の端を云 和詞にもおなし

ちはなれ 嶋々之事

てみ城  豊見城と書 とよみ城とはいはす

縦は太平記に豊嶋(テシマ)合戦なとゝ有類か

みや  庭の事

おきなわ  悪鬼納と書 琉球之事

ところ  墓の事

あまかさ  頓而雨降らんとする時 月に大なる

笠をかふるやうにみゆるを云

あまがて  是も雨降へき前に月晴や

らてみゆるを云なり  

ひがさ  旱する前には月に赤き少き笠

かふるやうにみゆる也

くもて  曇りてと云事なり

やはて  曇ルやうなれ共 くもるよりは

  少シ晴るる月を云

(                   )

  國のねにおわるみかなしのてたの

にかようあまよなすてたと有

ちゑねんさしきはなくすくおもろ

御双紙に見得たり

にかよう  凶歳の事也

きら  此世界の事也

首里大君せんきみかなしもゝとふみ

あかりきみのつんしのおもろ御双紙ニ

見得たり

〇きしま  那覇の事なり

首里おわるてたこかうきしまは

けらへてと有

ぶれしま  諸嶋の事也

ふれは群なり 題林愚抄にむれつつあさる

千鳥は夕しほのさすにまかせて浦つたふ〇

正徳船ゑとおもろ御双紙に見得たり

いしらこ  石の事なり

ましらこ  〇詞なり

やゑさもり  やらさもりの反詞也

こばしま  久高津堅両嶋の名なり

さきよた  読谷山の事也 又大にし共云

月しろの大ぬし  月天の御事

あすもり  さやは嶽なり 知念間切ニ有り

嘉靖三十二年やらさもりまうはらい

の時きみま物み御前みせゝる御双紙に

見得たり

〇け  瀧也 みちよ反詞也

〇く(   )  大海なり

こかねくち  津口の事也

まはへまはへやおらおせこかねくち

はりやさ

おもかは  御日の事也

おもかはあかておわちへなさへきよ

いきやてみよわちへ

あける月  反詞ハなおり月来月

の事なり

くもく世  善世の事なり

琉球國中碑文記石門の西のひのもん

きこゑ大君きみきみの御せゝるに

おくのみよ  反詞 くもことまり

とよみもりよそひもりおくのみよ

くもことまりにま玉はしくに

のまたやわたしよわちへつかしよ

わちへ

 

神祇

 

あけしのゝかみにし  大和ノ国名所ナリ〇

           大和ノ神ト云コトカ

あけしのゝのろにし

神の名也 むかしは琉球出現あつて人に

寄て神託有 種々神変不思議の事有

神哥ありきゑとの御さうし有之

あまみきよう しねりきよう

天美人ト書 琉球開闢の男女の神なり

いけなきみ  神の名なり

なりきよきみ 右同

なさいきよ  右同

みすづり  神託之事 碑文記にはみせゝると云

みちへりきよ 神の名なり

こゑしの  右同

くめのこゑしの 右同

嘉靖卅四年 やらさもりまうはらい

の時にきみま物の美前みせゝる

御さうしに見えたり

やまのくにかね  山の神の事なり

すつなり  反詞かみにし 神の事なり

あかるいの大ぬし  にるやかなやの大神也

あかるいの大ぬしぬしかまへにくねふは

おゑておちへおれつむすたたな

いなちやはなさちやる

 

   人倫

 

すゞすや  出家の事を云 珠数摺と云事か

珠数をずゞと和琉共に云 源氏須磨の巻に

御涙のこほるゝをかきはらい給つる御てつき

くろき御すゞにはへたまへるはと有は

しゆすに御涙のかゝりたるさまかと註せり

琉詞にも珠数瀉原と書てずゞかたはると云

とじ  女房の事也 和詞には女の惣名と云々

源氏蓬生巻にとじとは今も内侍所なり

又摂家のすゑにつかふ女を刀自と云 女の

惣名たるへしとなり

けご  家子ト書カ 内之者の事 主人を敬ときはおやけご

まゑけか  男の事 ゑけがとも云 まの字を

云時は敬ふ言葉なり

くそし  医師を云 和詞には薬師(クスシ)と云

びる  童の久敷足立さるを云

蛭子と書か 蛭子と申は素戔烏之尊

今の西の宮の大明神にておはします

生れ給ひし後三年まて御足立すして

片端におはせしかはいたき船に乗て

海に放て奉る かそいろはいかにあはれと

おもふらんみとせに成ぬ足たゝすしてと

讀る哥是也 素戔烏尊は夷三郎事

なりと云々

大ぬし  主上の御事 神哥御双紙に有

大ぬしきや天ととろするやに  行幸の時

天地も振動するやうにあるとなり

和詞にもとゝろくと蹈とゝろかすとあり

あめとゝろするやに共云

あやこはまするやに

國まつりしよわちい

しつこはまするやに

三行はむかし知念行幸之時濱邊御通路之事

を申か 神哥御さうしに見得たり

地天とよむ大ぬし  

天地〇〇〇わかぬし

二行共に主上の事 神哥御双紙に見よ

ふなこ  水主の事

てかち  楫取の事

時とやり  占方するもの巫女の類也

ゑかとやり  返しの詞

いつれもありきゑとの神歌御双紙に見よ

いせゑけりあちおそい

いせはかしこき心也 あちおそいは主上の御事〇

神哥同御双紙に見えたり

まむちよ

首里(ムチヨ)慶良間(ムチヨ)と云事 同御双紙有之   

あがなざ  父親を云也 同御双紙有之

たたみきよ  主上の御事也 神哥首里王府

御さうしの内に見えたり

大ころ  男の事か こしあての大ころと云時は

   夫之事也

ちゞよのくわみたけ  童子の事

むざ  下人下女を云 和詞にはずざ婿と云

てたこ  帝の御事 神哥に首里おわるてたこ

と有は首里に御座ある帝と云事  

むまか  孫の事 和詞に孫をむまこと云 まことは

真子と書て直子の事を云 徒然草に其子

むまこまては はふれにたれと猶なまめ

かしと有

しやうし〇  食焼の事 和詞に雑(   )

申より出るか

うふのくわ  はつの子なり

みかなしのてた  てたこ わうとめ

首里天かなし美御前かなし美稱し

奉る詞なり

まもの  男子の稱なり

さしきなわしるにすてものまもの

みしや子  善子の云詞也

またまのとりやかるみしやこ

すぢや  大凡、世界の男女をさして云

ちゑねんさしきはなくすくおもろ

御さうしに見得たり

もゝぢやら  諸の按司と云事 女之時は

おなちやらと申なり

のろへ  祝部

さしほ  くての事也 又くてとは詫女

の事也 今神人と云是なり

むつき 同上

やぢよこ  諸間切の位衆おゑか人妻の

称なり

あすたといふもやぢよこの事か琉球

國中碑文記に浦添城の前のひもんに

のろへしまのあすたくにのあむた

大小のゑくかおな共御よひめしよわちへ

 首里大君せんきみかなしもゝふみあかり

君かつんしの御さうしに見よ

すざへ  兄の事也 惣して我より長しき

方は俗に如斯申なり

くにかさのおやのろ  間切の大のろ事也

なざ  父親の称なり

嘉靖三十二年やらさもりまう

はらいの時みせゝる御双紙に見よ

はぎちへ  船はぎ細工也

おとちや  男女共兄弟を如斯申なり 他人も

親切におもふ方はおとちやと俗に申なり

天啓三年 船ゑとのおもろ御双紙に見えたり

おもろねやかり 反詞 せるむねやかり  往古

おもろの名人也 御神親愛したまふ

となり

あかのこ 反詞 ねはのこ

おもろの名人にておもろねやかり

世を同しふせし人なり

あかのこねはのこかもゝちやらぶれ

(              )

きやのちぬきまる  時取の名人也

もくたよのかね  是も時取の名人なり

おやもい  父母を云

をんきよもい  伯父叔 もいとは親愛の詞也

かいだ  したしたの者をいふ

 

器材

 

だうさ  明礬の事 俗にたうさと云

源氏葵の巻にだうさと有 くはんざう色はすはうに

たうさを入て染ると註に見えたり

まかり  茶碗の類也 和詞にもまかり鉢なとゝ云

おさくわ(引)  ちいさき瓶を云

びや  琵琶之事

あむた  油之事

おそれい  菜皿之事それい共云

こかねきやくらよりかけ

なむぢやきやくらよりかけ 是は返しの詞也

いつれも馬に鞍置事をほめて云也 神哥

ありきゑとの御双紙に見えたり 

玉しりぎや  鞦シリカヒ

玉くみぎや  鞅ムナカイ 

馬具ナリ 玉ハホメテ云ナリ

同神哥御双紙に見えたり

ておのいとのはるび  〇ハルヒ

くもこたづな  手縄

是も手縄腹帯を同断にほめて申なり

同神哥御双紙に見えたり

いたきよら

たなきよら

ゑぞこ

おうね みおうね 

〇つれも船の事を云 同神哥御双紙にあり

ほこ  鉾也 和詞にも同し

たまきゑらてさゝちへ

刀を撰てさゝすると云事か 同神哥御双紙

見えたり

みちやう  弓の事 和詞にはみたらしといふ

さば  草履の事 和詞にも云 雨降なとに

草履蹈て道行時泥又は水なと草履

にて裳にはねかくるをさばうちといふ

まつるぎ  真釼ト書カ 刀の事 神哥にみえたり

みすへご  御小刀の事 和詞にはそへこと云

おきれとり  火取の事

おやこ  親子と云か 舟を漕かいの事也

昔神の出現之時 羽地間切屋我よりまてきや

の御嶽舟渡りしたまふに水主のもの

かいをわすれけれは神いかりをなして

舟は親かいは子なり親を持て子を

わするゝ事いかにとせめられしより

かいをおやこといふとかや

きしれ  きせるの事

すへん  鎌の事 いら〇とも云

くはい  鍬の事

まつくわ  枕の事

ひぎよろもの  包丁之事 たちもの共

ともたんす  鍬之事

へいたんす  鞅之事

さうじ  竹にて組天井なと張物を云なり

和詞にはあじろと云か

せちよせ  

御城よりみちへの御殿の御名か 本所に

よりみちへかおよりせちよせかなをさ

と有

つくしちやら  寳剱の名也

てかねまる  同上

つくしちやらはきよわちへてかね

まるさしよわちへ

ゑぞこかずみおうね  船の事なり

首里大君せんきみかなしもゝと

ふみあかりおもろ御双紙に見えたり

たまのきみつかい  御船の事也

首里おわるてたこかおうねのきみ

おしうけてむむうらおそうたまの

きみつかい

すづとみのおやおうね  御船の事也 唐船ノ事カ

たまはしりたまやりと  御戸の事

禁中の御戸を美称しての言葉

天啓船ゑとおもろ御さうしに見よ

せちあらとみ  唐船ノ事カ 御船の事なり

けらへせちあらとみ  同上 唐船ノ事カ

正徳船ゑとのおもろ御さうしに見得たり

あやのみやし  筵

うらはり  舟の事

まぬのほう  布帆之事

するぎほう  筵帆之事

かまへ  貢物之事

かみ下のかまへつてみおやせ

むかしはつかかなひと申て人の頭の程に

稲壱たはりつゝ上納有たるよしなり

なみとゞろ  舟之事

うみとゞろ  同上

しまうちとみ  同上 唐船ノ事カ

嘉靖卅四年やらさもりまうはらい

の時みせゝる御さうしに見よ

ともまさり  船の事なり

しまとつけ  同上

ふなもどろ  はやもどろ

うききよら  以上船の事

てとりげ  船の名所なり

またいらのたゝみ  畳の事

天啓三年 船ゑとのおもろ御双紙に見えたり

ひやしのつち  小〇也

むかし神世の時君〇物御遊に〇〇

拍子と申て拍子を打事也 今

神楽に用ゆる 小〇是なり

 

気形

 

ひゝじや  羊之事

まや  猫之事

よも鳥  雀之事

まう鳥  〇之事

ひよす  ひよ鳥の事

ましきよす  鶯之事

ずへんずへん  蛍之事

ちゞよい  千鳥之事

はうと  鳩之事

はいんさ  鷹の惣名

あさゝ(引)  蝉之事

いしやと  蟷蜋之事

くぶ  蜘蛛之事

はへる  蝶之事

あきつ  蜻蛉之事 和詞に同

日本国の形あきつに似たれは日本の惣名

を秋津嶋共秋津国共云〇〇

みやとり  鶏の事 庭鳥と書

みやかい共云 庭飼と書

かあとり  鴨之事

つくりみや  麦味噌之事

あふみ  あふそない之事

あやはへる  反詞 くせはへる

蝶之事なり

  天啓三年 船ゑとのおもろ御双紙

  に見得たり

こてい  (コツ)(トイ)

   

草木

 

かいん  薄之事 ごすきとも云 尾花さ共云

かむだ  葛之事

つぐ  棕梠之事 

おほね  大根の事 徒然草に大根を

土おほねと云

つほる  瓢之事 夕顔とも云

しふり  冬瓜之事 藜ノ事

てだな  ひな 藜ノ事

かばしな  くさきな 桐ノ葉ノ事也

あけもとろのはな  早朝花ヲ云也

てにゝとよむ大ぬしあけもとろ

のはなのさいわたりあれよみれよ

きよらやよ

嘉靖卅二年やらさもりまう

はらいの時みせゝる御双紙に有

 

時候

 

ゆまんぐい  夕間暮之事 和詞にはゆふ

まくれと云

町きよひ  七ツ時分之事

町来折と書か

あかるのあけもとろ  あかつきの事

てたかあなのあけもとろ  反詞

天啓三年 船ゑとのおもろ御双紙に見得たり

はつにし  十月之ひヲ云

しらにし  返しの詞

いつれも首里王府のおもろ御双紙之(     )

 

衣服

 

しろはせやきぬ  白朝衣之事

ゑかきみはね  綾きぬの事也

衣の事はあけのはねあけむかけと申

事候得は続きぬ事なるへし

あおしよみそ  青色の衣の事也

あけのみそあおらちへ

赤き衣を風かそよそよと吹揺す事

嘉靖卅二年やらさもりまう

はらいの時みせゝる御双紙に見得たり

たれきゝび 垂帯 たれはかま 垂袴

天啓三年 船ゑとおもろ御双紙に見得たり

そゝ  衣のすそをいふ

したぎ  汗衫(ハタキ) 汗衣は近身受汗垢の衣なり云々

 

数量

 

ななそ  七十

やそ  八十

もゝそ  百人

嘉靖卅二年 やらさもり

まうはらいの時みせゝる御双紙に見得

たり

テツ 一 タツ 二 ミツ 三 ヨウツ 四 イツゝ 五

ムツ 六 ナゝツ 七 ヤツ 八 コゝノツ 九 トウ 十

ハタチ 二十 ミソチ 三十 ヨソチ 四十 イツソチ

五十    ムソチ 六十 ナゝソチ 七十

ヤソチ 八十 コゝノソチ 九十 モゝソチ 百

 

支體

 

みきやう  御顔之事 神哥に見えたり

しちにぎや  乳之事 神哥に見得たり

しらげ  白毛 反詞 きよけ 清毛

あよ  肝の事なり

  ちゑねんさしきはなくすくおもろ

  御双紙に見得たり

おみかう  御顔と云事也

嘉靖三拾二年 やらさもり

まうはらいの時みせゝる御双紙

に見得たり

 

飲食

 

たうきみ  唐黍之事 たかむさあゆるんさあ共云

白うち豆  白大豆之事

かうろく豆  本大豆之事

はう豆  下大豆之事

おく豆  へんすの事

ま豆  小豆之事

さアたア  砂糖之事

しんだみそ  糠味噌之事 和詞にも〇

             糂汰味〇

徒然草に見えたり

みしよ  味噌之事

首里王府御双紙に見ゆ

がめん  神酒(ミキ)之事 がめん粉と神酒

作る粉之事 神哥御双紙にみえたり

あをもの  青苗之事 あをは共云

まめな  おやし之事

つのむぎ  大麦之事

まぐ米

嘉靖卅二年やらさもりまう

はらいの時みせゝる御双紙に見よ

しげち  酒之事

天啓三年癸亥三月七日 船ゑと

のおもろ御双紙に見えたり

 

言語

 

はつかさ  僅ノ心也 ハツカ和詞(      )

かたわけ  何にても勝負物に左右に人数

      を分るを云 源氏繪合ノ巻にひたりみきにこまとり

      にかたわかせ給へりと有 

おかけれ  器なとに物を入るゝを云

ほこらしや  和詞にも云 源

あさりするあ(   )とも(   )らしけなり

かていすれ  人を呼と云事也

そなれ  なくさむ心か

あかさて  いときなきもの事 童あかさて

とも云

つめて  度々之事

なから  半分之事 まなからとも云

ながらとかの字を濁る時は乍なり

いめ  夢を云 和詞にもいめと云と呉竹抄に

見得たり

たうとさ  有かたさと云事 又たうとたうと

と云はおかむ事も云 和詞にも源氏乙女巻

あなたうとけふのたうとさやと有之

あかれ  別の字か 夫婦離別をめうと

あかれと云 和詞にもわかれをあかれと云事

諸書に見得たり アハ五音横通なり

もとかしや  和詞同前也 源氏蛍巻に人の

うへにてはもとかしきわざ〇と有

はつかしげさ  はつかしきさま也 源氏

同巻に右の中将はましてすこししづ

まりて心はづかしけさまさりてと有

物あらがい  あらそふ事也 源氏常夏之

巻にあらかふへくもあらすと有

あへこ  懐妊の内母之業により又は子を産する

時くせある人来は右にあやかるをあへこと

云 和詞にあへものと云 常夏の巻に妙法

寺の別當大徳のうふやに侍りけるあへものと

なんなけき侍たまへし〇〇この別當は舌は

やき人は近江君うふやにわたり給ふ

故近江君もあやかりて舌はやにありと

云々

さう  笙之事 びやさうといへは枇杷と笙

之事か びやしやうとも云

しやうさう通音也

はへらい  人をのなし氣任するを云 唐

  音なり    (      )

きくら  旅行之人 又は物の吉凶をおら

なはすしてあらかじめ瑞を知るを

云 唐音には(シャン)(フウ)と云 鍋に水を入飯べらの末

さしくみめくらしかのへらの本の向方に行中

途にて何にて吉凶を見聞すると有

おへさ  大きを云

やくめさ  おそるゝと云事

あまへわち  よろこひ之事 源氏夕霧

巻に父夕霧を御子息の御覧してあまへ

給ふと有 源氏には歓ノ心ハ無事也 あまへてと云は馴るゝ

心 琉詞にあんまへらう云心か

おが  おぬしと云心 又おのかというふ中

略するか 人の上にもまた身の上にも云

いしなこ  和詞にも同し おさなこのもてあそ

ふいしなこ有 西行家集にいしなこの玉の

おちくる程なさにすくる夕日はかはりや

はする

さか(引)しや  童子なと(     )有を云 

賢の(  )也 さか(        )心なり

しじよき  退の字しりそくと云事 和

詞にもしぞくと云 源氏帚木巻にう

けたまはりなからしぞきてと有

わべれ  何にても思事のたらすして

悔事を云 帚木に俄にとわぶれと人

もきゝ入すと有 侘ノ字也

やをら  しつかにやはらかなる心 帚木

にやをらより給いてと有

ねふたさ  寝たき事 和詞にも云 帚木の

巻に君いといとおしさにねふたくもあらて

まとひありくと有

いむまへましや  物を忌事 いまいましき心か

おすへおはら  御親類を云事

もどかしや  全輪敷もと〇しき 和詞〇り

あごかね  おさなきものを寵愛の詞也

夕顔巻にあがきみあか子と有をわか君わか子

と云事 かしつく詞也と云々 あわ五音通ナリ

よべ  夕部也 夜邊共云 夕〇

の巻によべ御遊ひにかしこくもとめ奉

らせ給てと有

きかすな  きかするなと云事 夕〇巻に少

将の命ぶなとにきかす〇〇と有

もだい  悶絶もたへ也

いねけあかはね  幼稚のものを云

ねたさ  腹立する事 源氏葵の巻にねたさ

になんとの給へはと有 妬ナリ

おやむめさ  恐多と云事

をり  居の字 和詞にも云 伊勢物語に色こ

のみなるおとこ長岡といふ所に家作て

をりけると有

いらへ  答る事 和詞にも伊勢物語にな〇

いらへもせぬと云はなみたのこほるゝに目も見え

す物もいはれすと有

しつきやい  惣様之事 悉皆と書

伊勢物語源氏物語にも惣様と云所に悉皆と

云事多し

おほすへ  僻か事なといひかけらるゝを云

和詞にも云 業平の哥に人しれすわれ恋

しなはあちきなくいつれの神になき名お

ほせんと有

きたなさ  き〇なき事 和詞にも云

伊勢物語詞書にさる哥のきたなげさ

にと有 黒心ト書カ

やらす  遣ると云事

同詞書に例の男をんなにかはりて哥を

よみてやらすと有

しほとむでゝ  ひたひたとぬるゝと云事 和

詞にはしとゝぬるゝと云 伊勢物語にみの(    )

さも取あへすしとゝにぬれてまとへ〇

けりと有

おきれ  火を云 伊勢物語におきのゐて身をやくよりも

かなしきは宮古嶋へのわかれ也けりと有り

また古哥に人をおもふ心のおきと有

もやもや  虫なとの沢山に集居て動ヲ云 和詞

にも云 蠢動にて書てもぐめくといふ 又もちめく〇

又もちよろよろトモ

ねふさ  遅事ヲ云 源氏物語ににふきと有其

時はヲロカナル心也 利鈍の字ナリ

をそましや  をそるしき事也

和詞にも源氏帚木の巻にをそまし

きと有 形遠と書ナリ

もつくり  耕作の事 神農をかみの

ものつくりト君臣政要故事に見ゆされ

(モノツクリ)を略してもつくり云ならん

いつとき  時の間の事 乙時ト書カ

おむしらしや  甘旨をいふ

ゆこふ  憩ノ字カ いつときゆくふと云時は

しはしやすむ事也 和詞にはいこふと云

ひろましや  不思議と云事

むしやもち  魚の類を云 さかななとゝ云

か如し

ほんの  誠にの云事 和詞にもほんにと云

物よつくわしや  偽の事

うしおふ  子使する事 おさなきものは

すへと云

ひやし  拍子之事 神哥なとにも拍子

をひやしと云

かばしや  かうはしき事 馨なり

なツくれ  夕立之事

ほしや  物を望事 和詞にもほしきと云

いぢきやさ  短き事

おみはたみ  御親類と云事 下官にははらうし共云

きじ  禁制之事 禁止を中略したる也

はれ  走と云事 はしれを中略也

むツれ  朋友の交を云 和詞にもしたしき

事をむつれと云 源氏帚木の巻に心

の中に思ふ事をもかくしあへすなんむつ

れ聞え給けると有 むつましき事を云

うらまはり

さきまはり  返しの詞

浦々巡行之事云 ありきゑとの神哥

御双紙に見えたり

いとめつら  

玉めつら  返しの詞

めつらしき事を云 いとゝ云玉と云 珍敷

事をほめて云也 御神哥御双紙に見えたり

あさどれ  朝なき之事

夕とれ  夕なき之事

 同神哥御双紙に見えたり   

おさんしちみよれは

さりゆくしちみよれは  返しの詞

所より下を臨見る心也 同神哥御双紙に

見ゆ

あやみや くせみや

庭の事也 あやくせはほむる詞同

御双紙に有之

みやりふしや  見度事也 同御双紙に有之

やねの年

むかふ年

来年の事を申也 同御双紙に見えたり

けおのあけとまに  

けおの明立に

今日の曙の事を申也同御双紙有之

あがるい

てたかあな

東の事也 同御双紙有之

むらさきのあや雲

紫ののち雲

雲をほめて云也 同御双紙有之 和言葉にも

紫雲たなひく 紫雲立なとゝあり

しまなかねとをり

国なかねとをり

嶋国の上より雲なとのとをると也 同御双紙に

見えたり

さゝら浪

めよと浪  

  小波の事也 さゝら浪はさゝ浪と云事か

なゝそ弓もたちへ

七人に弓をもたする事也 同御双紙に見ゆ

したけわち

何にても物を警固する事也 御双紙に有之

いしらこはおりあけて

ましらこはつみあけて

石垣を積上る事を云 神哥ありきゑと

御双紙に有之

かせむかてわきあかて

船の向風にも嫌はすに馳を云也 同御双紙に有之

やまと旅  大和

やしろ旅  山城か 是は返しの詞

昔ハ大和山城ノ国ニ通融シタルトナリ

うゐ旅  初旅の事也

和詞にもむかし男うゐ冠して奈

良の京なとあり 又鷹を初而つかふ

をうゐ狩と云也

袖たれてまふて

はねたれてまふて

廣き袖を飜して舞と也 同御双紙に有之

年きやみと

年きや四と

三年四年を云 神哥首里王府御双紙の内

見えたり

みおやせ  主上に捧る物を云也 みおやすれ

なとゝ云

きらの数  月の数と云事

ゑかの数  日の数と云事

二行首里王府の御双紙の内に見ゆ

てたかおさし  天命と云事

たくにとよて  他国カ大国まて聞えとよむと云事

おもかしや  めつらしきと云事

いつれもおなし御双紙に有事

あまみやから  むかしよりと云心

しねりやから  返しの詞

あおりやへさすかさ神哥御双紙

之内に有之

きみつほにみおやせ

君のいます御座にさし上ると云事

首里王府神哥御双紙之内に見えたり

にるやとよむ  にらひかなひまてとよむ

と也

たしまとよむ  返しの詞 他嶋カ 

同御双紙に見ゆ

ゆるなんか  一七夜と云事

ゑかなんか  一七日と云事

同御双紙に有之

肝はへて  肝うれしきと云心

あよはへて  返しの詞

同御双紙に有之

すで水  人誕生の時 明方の井川

より水を撫さする也 其水をすで

水と云也

みおもかけ  御面影と云事

すへませ  子孫の事也

ひやくさ  百歳の事

そこらしや  ほこらしやと云心

むかしはしめ  昔初也

せのみはしめ  返しの詞

いつれも首里王府神哥御双紙之内に

見ゆ

こむてのあわちへ  手を合する事也

せと  浪のうちあふ所也 和詞明石のせと

虫あけのせとゝあり

すぎはひ  世をわたるそれそれのわさ也

産業と書

身をつみて  我が身をつみてかへりみる事云

琉哥 吾か身つてみちへと人の上やしよる

無理するなうき世情けはかり

        和哥にも 身をつみは

人もおしまじ秋の月山のあなたの

人も社まてとあり

しのぐ  凌の字也 風波霜雪暑寒等

のうへにあるへし

しばしば  数也 物のしけき事也

和歌にも和田の原よせくる浪のしはしは

もみまくのほしき玉つしまかも

しれい  うしろの事 和詞にはしりへ〇〇

と(引)なれかアなれ  とに(   )かくにつ(    )

菟角と云詞は菟の耳を角と(    )

初ると呉竹集二巻にみえたり

よける  物をよぎる事也

和哥に 雲風はなのあたりをよぎて

ふけと有

よどむ  タユム心 水ノトゝコホルヲ淀ムト云

あたら夜  おしき夜の事也 和詞にも

云 あたら夜の月と花とを同しくは

あはらしれらん人に見せはや

あつらへ物  誂物ナリ

山彦  和詞にも同

し天彦共云

さくり  探ナリ       和哥に うツ

人と思ひし妹を夢に見て起て探る

になきそかなしきとあり 呉竹集七

巻に見えたり

つんて  礫 石ホコトモ云

つと  土産の事也 和言ニツトハヘントノ〇ヲ云カ

根こし  草木を根引きする事なり 和哥にも

いにし年ねこして植へし我

宿のわか木の桜花咲にけり

くせ  癖の事也

わさう(引)しや  はやき心 和詞にも同

しはやき稲を早稲(ワサイネ)といへり

山賊  いやしき物の事 和詞おなし

やすらふ  徘徊と書か 和詞にも云

やつれ  様をかへ身をかくすを云 和詞

にはやせおとろふる事か

まとろむ  助少ねふる事也

まほろし  幻夢現まほろしと云 和詞

にも同じ      (幻の字は原文では幺に刀とある、転写者)

さかしま  逆なるを云 縦人の子の親に

先立をさかさまことゝ云也  (さかさまの二つ目のさの横にしカと註あり、転写者)

まさかり  最中さかりなるを云 和

詞にも同し哥〇となめきのさきさかま

きの白妙の〇めつさお花まさかり

にみゆ

まさなさ  〇路ナト人ニ云カケラレシ時 

打恨る詞なり 無正ト書也 和詞同

ねさめ  寝覚の事 和詞同

まだ  いまだの心也 和言同

なツかしき  物のなつかしき事也

和詞にも同し (ナツカ)(シキ) 懐氣共書

すくれ  勝の字 和詞にも云

朧月夜  さやかならぬ月を云 和詞にも

同し

おとろかす  驚字 和詞にも同し

あんまいらふ  子の親にあまゆるを云

和詞にはあまると云

とかむる  和詞同 咎ルト書 

とだいち  物の騒〇して又静なるを云 〇ト書也

おもひなかす  思流ス (     )遠クナルヲ云

おしなへて  (オシ)(シナ)(ヘテ)惣様と云心也

こぼるゝ  溢の字カ

めさましき  目さめたる事也

がならさ  かしこきと云心也

さうれ  人を誘引する事 (タツサフ)と云

  詞を上略したるか

あやかる  (シカル)の字か しかりおとす事也

たにの人 下臈人の内にならさる者を云也

へんご  塗炭に染よこれたるをいふ也

まんなか  真中の事 日用食性に正中と書

まぎも  正直なる人を云 まきもさと云 真肝

ばし  杯の心 又のつこいと云詞にも

かなふにや 和哥にもえたりとてじまん

ばしすな数寄の道寸善尺魔ものこと

にありと茶道の書に相見えたり

いちよなしや  〇業に遮られ隙無を云

しゆつなへ  差迫窮屈するを云 無術と書

ちやアしや  打續少倦む心有をいふ

たあれ  胸驚事あるをたあれわれて

なとゝ云 又たあれみやれと云時は疑の

心なり

さあまけ  少冥罰に中りたる心を云にや

縦は分限に似合わぬ事をするをさあまけ

するなとゝ云なり 私に()(マケ)と書か

どうやんけん  不意に僭事をなして

自非を知り恥悔謙るを云

どまんくい  周章まくるゝ事 (マグレ)の字か

まろはすな  宛転する事なかり 小学に

亟走多顛躓と云心

またいもの  全者又正直なるものと云にも

叶にや

ざれ  たはふれ事なり 左禮と書

ちよすのう  とつてむといふ心 寧の字か

ちやけ  即刻といふ事なり

しきよま  麦米の初を云

きよらさ  美麗なる心なり 清の字書也

な  其方と云事 汝の字をなと讀

和詞に通る 伊勢物語にほとゝきすなか

鳴里のあまたあれは猶うとまれぬ

思ふ物から藻塩草には汝と書てなれと讀

けらいて  造営并調和の事なり おもろ

御さうしに十尋とのけらいて八尋との

けらいてと有は造営の事 食物なと

けらいてと云時は調和の事 又けらい

言葉と云時は上へ慇懃に言葉を見合

物を申上を云

おぼかふ  飲食する事を云

いろしいろし  取分ての事

もゝすですでゝ  冥加〇有と云事

さいこはい  爰かしこの事

ひにやたほい  日南北向の書 春の日なと

庭に出て好て日にあたるを云 和詞には

ひなたほつかふと云

あつずり  寝足元の事 和詞には

あとすりと云

もとふく  早きと云事 もとふく

いじこうなとゝ云 はやく行てこよと

いふ心なり

あがふれ  食なとあかれと云事

にきやかうれ  同上

にきやけれ  同上

めしやうれ  食なと参れと云事

あけれ  食なとくふを云

あうれ  来れと云事

でい  いさと云事ていいきやと云時

いざまいらうと云事

もゝと  百年を云

ともゝと  十百年 

ともゝそ  十百人

十百さ  十百歳 千年の事

あすらまん  

まさしや  霊の字 占なとの能叶を云

むちへつころ

あなめ  問覓するを云

あなかぢ  強なり アナカチシヤ共

云ナリ

あまこま  あなたこなたの事

ねたさはらさ  悉立腹するを云 さねた

さとは小立腹之事

おほむたあこ  とてもの心なり

おちよはへめしやうち  行幸又はオまし

ます心ニモ叶フ  

みおやたいり  公事を云

むかしけさしから  上古よりと云事

たんきよと 尤と云事

おまつ  火の事 火をけす事を

おまつさますと云

おきれて  火のなかるゝ事

めい日  忌日の事 徒然草にからは氣疎き

ら 山の中におさめてさる人に日計ま

うてつると有 さるへき日は命日之事と

註ニ有リ

嶋かいのち国かいにち  長久之事 神哥に見えたり

いごまち  とよむ事

あまみやすへ  長久之事

みおやすら  進上之事

おやすらとも云

むか  むかし之事 右同

こゝらのかみ  多の神の事 巨々等と書

とすへ やすへ  千年 八百年を云

嶋そはて  長久之事

ずま  何方の事

琉哥に 北京お主日やすまにそなれよる七

つ星下の北京ちよしま 又巫女の誦文

にすまと云も何方へと云心也

ほんたい  我か儘すると云 わんほんたい共云

福建音に 皇帝と書てかくとなふと也

そだて  養育するを云

そだて物と云時は辨物之事也

あたらしや  おしきと云事 和詞にも

通 哥にあたらしや(ゑそ)かちしまの春の花詠る

人もなくてちるらん

やしらい  あしらう共云事 足占と書 和詞

にも通 呉竹集に与所へ出行にゆかんか行まし

きかと立やすらふと有

ほとむたし  煎餅なと湯に漬やはら

くるを云 和詞にほとひと有も此心か 伊勢

物語に皆人かれ飯の上になみたおとして

ほとひにけりと有 ほころひもおなし心か

(和詞にの右横に是より下見あやまりかと朱筆、転写者)

かね  童名の下に付る詞 たとへは太郎かね

松かね之類也 伊勢物語にむこかねと有 又源

氏紅葉賀にも后かねと有は后になるへき人

をと有

おじるもの  野菜薪之類納をおじるもの

おやすると云 三月三日貝のりの類納をひ

せぐみのおしるものと云

のこのこ のきのき  何心もなく直に出入

するを云

さんぜんざう  常住不断之事

みすか言  密言と書か 和詞にはみそか言

と云 伊勢物語にみそかなる所なれは門よりもえ

入らてわらはへのふみ明たるつゐひちのくつ

れよりかよひけりと有

くそくはい  童子の(ハナヒル)時まじなふ詞 和

詞にくさめくさめといふ 徒然草に児のはな

ひる時如此ましなはねは其子に害有と乳母

なとの云ならはすと云也

なかふれ  舟なかれ之事

かあれかあれ  遠ふさ遠ふさなり

にぢしや  風味悪敷と云事

あはさ  淡きをいふ 塩かげんなとのあまきを云

しほからさ  鹹きを云

あまさ  旨きを云

すいさ  酸きをいふ

からさ  辛を云

にきやさ  苦 にかきを云

ねいしまいし  長久之事

按司おそへかなし天のねいしまいしのや〇

いつまてもおちよはひめしやうれと碑文

記にあり

わけ  食物喰残を云 さむだいとも云

  (ワケ)と書

あい  いや左様にてはなきと云心

すもし  洗と書か 衣裳なとあらふを()(ショ)

  すもしと云 清シノ〇字カ

あまがて  雨氣之事

のろふ  (シカル)と云事 又(ジュ)()する事も云

はつかしや  恥敷なり

あふたふと  佛神を信仰する事 和詞には

あなたふとと云 呉竹集に有

詞林三知抄に 安尊あなたうとと書り

おほかうやべて  食なとくたされたと云事

川さらへ  井をさらゆるを云

たへむす  実にさあれは社と云心なり

さへむ  さへ  上ニ同カ

琉哥に きくささへむ風のおせは

そよめきよれ御情にまやぬ人や

ないさめ

とまへる  物を探索之事 又人なと尋るにも云

とづけ  言を申付る事 届と書か

おむしやたゐ  行幸の御先備之事

おむしつき  供奉之事

とがて  神酒なとの酢氣入候を云

和詞には人の言葉過たるも云か

きじやりきじやり  段々の事 階々ト書カ 

おしられ  物を申上る事

つかあい  番之事 王府御さうしに

つかやうらちと有

たかべ  神前に祈する事

つこもり  晦日の事

てずりあけ  手を合せおかみをするを云

いろねさ  仕合よからさるを云

あにやもの  恐敷物之事

およせ  上より被仰付事を云

みすここまく  能々細密之事

ねごウねごウ  緩々と静かにして懇切なる心なり

おわば  何事も本より外之事を申之

ひと(チヨ)かけ 一片 菓子なと一切を一かけ二かけと云也

おからもの  鮹鰹の類をいふ

じむじむと  神妙なる心なり 深々ト書カ

おぢやむなしや  柔和にして優游なる(   )

おとるしやかなしや  恐るゝ中に悲む心有(   )

かながなしや  哀々たる心あるをいふ

いむせもの  ネチケ人抔云心カ物ヱンセナトゝ源氏ニ多キ詞也

國つほ  御城殿中の御座敷事也

あやてうちゑ

おもろ仕候時つゝみにて拍子を打事也

なよれ  鼓にておもろの拍子を打舞候

風情の事なり

みるめ  眼前 視目カ

たるが  誰か

づれか  何れか

せらに  致と云事なり

くなへ  竝へるなり

されされ  またどけどけ (ノケ)々と云事

みさゝげ  みつき物の事

なみしぐいくまちゑこがせ

首里かなし美御前むかし東の

幸行の御時知念安座間の潟なとにて

御轎夫か潮をけやけけやけ御轎を

おしやけて行事なり

みちやる  あちかなしみやるとあり

あがなす  集るというふ事なり

せたれ  申上といふ事

へらいほしや  會合して居度となり

ちゑねんさしきはなくすくおもろ

御さうしに見えたり

もとろうちにもとて  日中帰りて也

けおのうちにもとてもちろうちに

むとてと有

あけまとしならは  

来年にならはといふ事なり

てつり  御拝也

かへなてら  掻撫と云事

おれらかすまふらあすはかす

かへなてらと有

ませ  人の筋目真筋と云事なり

きもはへて  きむほくりなかほくりと

いふ事なり

よしられ  又 のたてれ  奏聞して也

大君によしられてるかはにのたれ〇有

あへちへ  相手

御さうぜ  叡慮の御事

大君きや御さうせてるかははのた

てゝと有

なりきよ 又いけな  世界の事

きこゑせんきみきやなりきよおれ

ふさてと有

すへとまへて  筋目を尋てなり

あれあれ  彼々

あまへれ すばいれ  二共歓ノ心カ

おもうやに  思様に

よせれ  参ると云事をよしろひと申也

いくまちへ  世上に聞得てのなり

す  言葉の緒也 所により心替なり

てるかはす世のむすひつきおろせと有

さうすれかうすれと云心か

うさし 命せらる也

てるかはかうさししゆこのきらに

おれわちへ

だにす  さあれはと云事

すたしやり  拝てすてる事なり 

きこゑ君かなしたにすとよみ

よわれけすま人すたしやり

ちよわれと有

しまかおへちよわれ

嶋か老るまて長久にあれとなり

さうせやりあくて  思ひ倦てなり

きこゑきみかなしおれみれさうせ

やりあくて

いけり  いちき也

さらめ  さうて有と云心か

たくたるけすのうちやりさらめ

おりほしや  居度と也

きやめ  迄なり

聞得君かなしねいしのあらきやめちよわれ

よためかち  震動する事なり

あさとら  早朝之事

ようとら  夜入元の事

しなて  合て叶て云事

あよのねはしなて

首里大君せんきみかなしもゝと

ふみあかりきみのつんしのおもろ

御さうしに見得たり

しよれば  しておれば

はちへきより  走来る

こまさ  細さ 勿論也 所により能きと云

人にも叶へり

すさへ大さとかかちとたるこまさ

大君にまちへこうてはりやに

ながへきよら  萬々歳迄清目出度と云事

だりしよ たにこと  二ツ共されはこそと云心

首里もりくすくなかへきよら

御城おりしよまたかみ下とよめ

あとゑて  集てなり つとゑてとは和言なり 集心也

かにある  如斯有と云事なり

天啓船ゑとのおもろ御双紙に見よ

おゑちへ  追風の事なり

くりうけ  船をおしうけてなり

正徳船ゑとのおもろ御さうしに見よ

もぢよる  きよらかなる事なり

わん 又 あか  我れなり

いちへ  云てなり

はりや  行んと云事なり

まぢよく 真強

おさん  遠々と見おろす事なり

こはしまのかみかみおさんしちへ

まふりよは

ぬきあてゝ  さし當てなり

なはとまりぬきあてゝおや

とまりぬきあてゝ

げに  実に

めつらしや  珍〇勿論なり 所によりて

床敷と云心にも通ひり

みちへりきよかけにはりよるわか

うらのめつらしやはやくはりそいよ

はりそはよ  はせ寄れと云事なり

はししよわちへ  たよりしてなり

よとしよわちへ  少し滞在してとなり

まはゑすづなり  南風の事なり

さらめけは  風かそよそよと吹く事なり

すら 又すゑ  船作場の事なり

あけどま  明日の事

あん  我と云事なり

うらうらと  風のどかに吹事也 所に寄りて

愛寵(   )も叶ひり

ましろ  真白ト書カ 和言也

まから  赤さ

よらちへ  船にずはと物を積入事なり

あけしのかやなむちやこうてよらちへ

はりよるきよらや 秋篠 大和ノ事明なり

かこへ  聲の能き事なり

たより  平等の事なり

きこゑあけしのかあよそろお

たゝみきうまへかち天下たより

なちへみおやせ

ひちめかちへ  月出て山端を映し事也

ゑらふてる月  さやか成月なり

なかみかせなこやけて  浪風がやはやはと成る事か

まやゑて  寄合てなり

おこと  御言葉なり

いみや  今なり

きやぎやるひ  よかる日と云事也

なおさ  〇為

たまめつら  きよらさなり

あまへて 反詞けわい  ケオヒノ心カ

大君かたまめつらめしよわちへ

あまへてけわいこきみもん

みやけぼしや 又みぼしや

嘉靖三十二年やらさもりまうはら

の時にきみま物みせゝる御双紙

見得たり

かち  和言葉か 同哥におもひかね妹かり

ゆけは冬の夜の川風寒むみ千鳥鳴也

  うらそいおわるけらへあまくもい

  かなししよりかちつかい

あよはりゑや  はやく走事也

つみつけな  積なから也

あより  御きもと云事なり

まちらたなめより

めつらこゑ

あおなみ 反詞しらなみ  青波白波ト云コトカ

うけよろははししやり  

船を以橋する事なり

うゐたび 反詞 あらたび  新旅なり

みおもかげたちへ  御面影たつと云事也

もちなし  饗應ト書カ 和言也

すだだな  乗涼なり  ()(ズム) 節用集に有 すゝみ〇となり

いな  早と云事也

おれが  其れか

あんたむす  我れだにさへと云事

すと云事所に寄社と云心にも叶ひり

かにあれ  角て有

おことあわしやうちへ

御言葉を合せてなり

おらくしちへ  楽々としたる事なり

ともからはさそて 反詞ちおとしやはさそて

輩兄弟を誘引して也

天啓三年船ゑとのおもろ御双紙〇

見得たり

みちへいちへ  見て往てなり

しまたつな  嶋を手綱してなり

くにこしやん  國を杖にしてなり

千代万歳迄幾久有と云事を祝語申

たる事なり

  おもろねやかりやひやくさきやめ

  ちよわれしまたつなくにこしやん

  みおやせ  

すづみ  沐浴なり

てゝかゝ  輝なり

月てたのやにてゝかゝちよわれ

ひぢめ  治世なり

かみしもの人ひちめてた

とこいしちへおみかうおかま

十聲は聲しちへおかまと申事

あれは御顔を拝み御物語を申と云事也

いやいや  誉拍子の事なり

船ゑとのおもろ御さうしに見よ

人はごくほさつのきももて

五穀を敬つて菩薩と稱する物ならん

穀のみのり次第に穂をたるゝことくに

人みな君の俸禄をうけ富貴に成

次第つゝしめよといふ言葉なり

よひものむつれゝはたゝみのへりこみよへ

わるいものむつれゝはつななわかるよむ

最明寺時頼公御哥に 善人に接て恐敷

事はなし麻の中なる蓬見るにも

たうれらばはらさぐれ

顛倒する時は親族を探り求めよと云事

のうのつらしちへいきよが

何の顔ありて行か也 小学に何顔入吾

廟乎

ざま  和詞にも様と云をにこりていふなるへし

〇やどききどき  ヨノツネノ事カ

あつたらよはさや(引)  事ア〇ラシキト通フ也

なあなあと  和詞になだらかと云に似たり平坦(ナダラカ) 

にやから  異日 他日と云ことはならん

かたぎ  楷と書 かたぎ吉 か〇ぎわるい

わにやくなもの  害の字の心にかなふか 悪生者ト云心カ

いざとく  いざ(トク)ならん

おほまだらめよむ  さだかに見えぬ心也

まうけらよりやたぼへ  萬つ物求ランヨリハ有物よく

秘蔵せよとういふ事なり

ねずへるものどおほいよとる  物事に能堪忍

せよと云事なり 物ねず共云

漁人云時によりて()をつ〇〇せとも釣をあけす

堪忍してゑる時は大魚をつると云事あり

其れにいへかけたる言葉なり 和詞に

忍字をねむずと讀也 塵添壒嚢鈔に

醫書にはゆばりをねむすれはやまひと

なると云々 忍字を用と云々 呉竹集に

ねんじわびてとは堪忍しがたきなりと云々

たなかはり  種子変と書

のざ  やまとこと葉に能作

そろおしろひ  にろと云事 和詞にも呉竹

集ににろゐとは藺のいまだちいさき

云とあり

お〇ちやべて  思ひ痛く侍りてうたがひ

おもふ心なり

おめちやさ  おもひいたさや 右に同し

うかひて  やおらのこゝろか

きもちやさ  肝いたさなり 痛腸の心也

句双紙に泪出痛腸(泪ハ痛腸ヨリ出ツ、転写者)

おきもちやべ  御肝労の心ならん きもちやべ〇

しまちやへ  嶋労と云事ならん 勞は

慰労と註す 杜預曰労者効其勤

以答之又諸侯相朝逆之以饔餼

謂之効労 字〇

つむと  和詞にづんど (スン)()と書

つむきる  摘切ノ字カ

 

 初夫   初婦   初子

うゐをと うゐとじ うゐぐわ  うゐとは

和詞にも有 呉竹集にうゐかりとは

春に成て始て狩をするを云と有又

節用集に始爵と書てういかふりと

よませり

うしろめつちへ 

呉竹集にうしろめたきとは心もとなき也

哥に朝またきおきてそ見つる桜花

夜のまの風のうしろめたさに

うしろかろかろと  同集に

うしろやすきとは心やすきなり

哥に萬世の霜にも枯ぬ白菊をうし

ろやすくもかさしつるかな

くやくや  悔事なり 呉竹集にもくやくや(   )

悔む事と有 又きたるやきたるやか 又くやくやと

おもひいふ事か哥にくやくやと待夕

暮と今はとてかへるあしたと

いつれまされる

つらまづき 又 つらづき  おとかひを手

にてさゝへてやすむを云也 和詞に

つらつえつくと有 つえを略したる

へし 呉竹集に頬杖と書 哥になけ

きこる山とし高く成ぬれは頬杖の

みそ先つかれぬる

やらせやれ  呉竹集にやらひ人に物を

やるといふ 筑紫にては我さへおこせと  (さへの右横に方カとある、転写者)

云事につかふ  

あれがさアへ これがさアへ  呉竹集にこれ

さへ(コレ)(サヘ)それさへ野さへいつれも

見そへ聞そへたる事なり

うらいましや  和詞にもうらやましく

羨敷と書 羨は貪慕と註す 又

浦山敷ともただうらやむと云時は

心かはれり 呉竹集にうらやむとは

愛する心なり花をめて鳥を

うらやむといへり

うらうらと  和詞にも有 呉竹集に和日

と書 春の季也 長閑なる體なり

又 うらうらと霞む和にのどかなる事也

うらきらしや  和詞は 似たる物有 呉竹

集にうらめつらしきという詞うらがなし

うらこひし同 心めつらし心かなし

と云事也 うらは心なり 又うらさびしき

抔いへるは只さびしきなり うらに心なし

哥 我せこが衣のすそを吹かへしうら

珍しき秋のはつ風 ふな人も誰を

こふとか大島のうらかなしけに聲の

聞ゆる

おゑべやうちにかいどまかかよる  指ヤ内ニマカルナリ

詩小雅に 兄弟鬩干牆外禦其

務毎有良朋烝也無戎 此心に

當るか

いかめし  器量(イカメシ)

よとむ  ()(ドム)

もどく  (モドク)

他人のなす業を〇敷思ひみととろす事也

〇〇抄に見よ

   〇 馬〇餘足とよませたり

賺す  小児なとた(             )

(    )  (マジナフ) (エン)

(    )  (ハマ)()

こ(    )  巨

〇ら(   )  愚亂(    )

ぐ(     )  瓦(      )

わめく  〇く        

はづむ  (ハヅ)()

〇〇ら(   )  (グワ)()々々        

ちびちび  ()()々々

さらさら  ()()々々     

ぎくぎく  ()()々々

ぐとぐと  ()()々々       

によこによこ  (ニヨ)()々々

によろによろ  (ニヨ)()     

むゝじり  (モモ)(ジリ)  

ぼゝけたつ  ()()()(ダツ)      

かレこへ  (カレ)(ゴエ)   

さゝんさ  ()()(ンサ)        

あけくのはて  (アゲ)(クノ)(ハテ)

ほつほつ   (ホツ)(ホツ)    

すゝなき  潺湲(○○ラキ)

おほめく  恍惚(コウコツ) おほめくと讀 分明ならさるの義なり

をとけもの  (ホウ)()(モノ)      

のり  絹糊(ルビが不鮮明) 衣裳洗濯に用(ふ?よ?)

すもる  (スモリ)